外壁塗装の要を担うのは「塗料」です。塗料は外壁の最も外側の層を覆うため、外壁を長持ちさせるための強度や機能性において最も重要な役割を担います。塗料にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。外壁の特徴や塗装の目的などにあった塗料を選ぶことで、より満足のいく仕上がりを得られるでしょう。今回は、外壁塗装において用いられる塗料について、種類別にその特徴やメリットを解説していきます。
1. 外壁塗装の塗料①:アクリル系塗料
まず、「アクリル系塗料」から紹介しましょう。外壁塗装に用いられる塗料は基本的に合成樹脂を原料としていますが、アクリル系塗料は文字通りアクリル樹脂を原料とした塗料となります。アクリル系塗料は軽量であり、色を鮮明に見せる効果があり見栄えのよい塗装が可能です。耐用年数は短いものの、扱いやすい塗料として知られています。
耐用年数の目安はおよそ5年~8年ほどで、価格も1㎡あたり1,400円~1,600円と塗料の中では非常に安いのが特徴です。リーズナブルに塗装をしたい方に最も向いている塗料といえるでしょう。ただし紫外線に弱いため、遮熱・断熱性能は低く、劣化も早い塗料です。
2. 外壁塗装の塗料②:ウレタン系塗料
「ウレタン系塗料」はウレタンを原料とし、防水・耐水性能の高い塗料です。塗膜も含めて非常に柔らかく扱いやすいこともあって、施工場所を選ばず柔軟な施工が行えます。そうした柔軟性を活かした用途の幅が広いことが特徴で、外壁だけでなく、雨どいや戸袋などの住宅付帯部への施工にも向いているのです。
また、ウレタン系塗料には「弾性」といって伸び縮みする特性でも知られていて、とくにモルタルなどひび割れやすい外壁に塗装すると塗膜がより長持ちする効果があります。また密着性も高いので、塗装の剥がれが気になる場合にも有効な塗料となっています。
耐用年数は8年~10年で、塗料の中では比較的短めです。1㎡あたりの価格相場は1,700円~2,200円で、アクリル程ではないものの非常に安価です。かつて外壁塗装の中でも人気の高い塗装でしたが、今ではより耐用年数が高く軽量なシリコン系塗料などの登場で、主流の塗料とは言えなくなってきています。しかし先述の通り施工場所を選ばずに柔軟な施工が行えることから、今でも根強く用いられている塗料でもあります。
3. 外壁塗装の塗料③:シリコン系塗料
現在、最も人気となっているのが「シリコン系塗料」です。シリコン系塗料が人気の理由は、耐候性・耐久性に優れていること、そしてより綺麗な仕上がりになることが挙げられます。また弾性にも優れているので、たとえ外壁の一部がひび割れたとしても、それを覆う塗膜が剥がれない限りは強い防水性を保ってくれます。
耐用年数目安はおよそ10年~12年とある程度長めであることも人気の理由のひとつです。1㎡あたりの価格は2,200円~3,000円と、価格的には安価ではないものの、価格に見合った非常に高い耐久性能を発揮してくれる安心の塗料です。コストパフォーマンスの高さでは他の追随を許さない意味でも、高い支持を誇っています。
4. 外壁塗装の塗料④:フッ素系塗料
主要な塗料の中で最も上質なものとして知られているのが「フッ素系塗料」です。
フッ素系塗料はフッ素系樹脂を材料としている塗料で、非常に高い耐久性を持つことで知られています。六本木の森ビルタワーや東京スカイツリーなど都内の著名なランドマークや、レインボーブリッジをはじめ都心の主要な吊橋にも用いられています。外壁塗装においては最も寿命が長いといってよく、耐用年数の目安はおよそ12年~15年と非常に長くなっている反面、1㎡あたりの価格は3,800円~4,800円と非常に高額です。
フッ素樹脂は密着性が高いことでも知られていて、その密着性の強さが耐用年数の長さに直結しています。しっかりメンテナンスをしていれば15年以上長持ちするとも言われており、シリコン以上の弾性を誇るため内部への浸水を防ぐことでも知られています。そして何よりも耐候性が高いことで知られ、紫外線による劣化や色褪せなどの経年劣化が起きにくい塗料です。高額ではありますが、値段に見合った耐久性能は持っているといえるでしょう。
5. まとめ
以上、外壁塗装で用いられる塗料の種類別の特徴やメリットをひととおり解説しました。塗料によって良し悪しがくっきり分かれるものもありますが、たとえデメリットが強いとしてもそれを上回るメリットの高さから、今でも用いられ続けているウレタン系塗料のような例もあります。必ずしもデメリットが性能を殺すとは限らないというのが、外壁塗装における塗料の奥の深さです。
当然、外壁塗装にはお金がかかりますから、頻度は少ない方がいいというのは自明の通りです。その為基本的には耐用年数が長い塗料が人気ではありますが、改めて塗装に何を求めるのかを考えつつ、住宅の環境条件なども加味しながら施工に使う塗料を決めていくことをおすすめします。